今回は、『ルックバック』は意味不明でつまらないのか、なにがすごいのか考察していきます。
藤本タツキ氏原作の漫画『ルックバック』が、映画化され2024年6月28日に公開されましたね。
大々的にプロモーションは行っていませんでしたが、原作漫画が「このマンガがすごい!2022」オトコ編1位に選ばれるなど、評価が高く、SNSでも話題になり、多くの人に見られているようです。
観た人の中には、「よい作品だった」と思われる方と、「意味不明だった」という方に分かれるようです。
話の展開がわかりにくい部分はどこなのか調べてみました。
それでは、ルックバックは意味不明でつまらないのか、なにがすごいのか考察していきます。
Contents
ルックバックは意味不明でつまらない?
作品中のどの辺りでわからなくなって意味不明になるのでしょうか?
京本が不審者に襲われ命を奪われた後、藤野が京本の家に行ったあたりから、わからなくなることが多いようです。
先に言ってしまうと、現実から離れた世界線、時間軸になります。
- 妄想の世界(もしもこうだったら…?と思う)
- パラレルワールド
- タイムリープ
作品を見た人それぞれの解釈で良いと思います。
作品を振り返りつつ、ポイントを押さえてみていきます。
現実でなくなる
藤野は突然命を奪われた京本の自宅を訪ね、小学生の頃に京本に書いた4コマ漫画をみつけて、
と考えてしまいます。
みつけた漫画は、1コマ目は「出てこないで!!」と描かれ、引きこもりだった京本が部屋から出るきっかけになった漫画です。
この4コマ漫画をバラバラに破ってその場に散らすと、「出てこないで!!」と書かれた1コマ目が、初めて京本と顔を合わせた時のようにドアの下から部屋に入り込みます。
妄想の世界?
部屋に入り込んだ漫画が入り込んだ続きです。
「出てこないで!!」と書かれ漫画を手にした、小学6年生の京本が現れます。
京本は、チャイムが鳴り突然やってきた藤野に応えた方がいいのか悩みますが、漫画に「出てこないで!!」と書かれた通りにします。
一方、藤野は誰も出てこないので留守だと思い、顔を合わせずに帰ります。
現実では出会っていますが、ここでは対面していません。
その後も京本は引きこもって趣味の絵を描き続け、さらに絵の勉強をする為に美大に入学します。
美大に入学後、不審者に襲われますが、とある女性が不審者を蹴り飛ばしたおかげで助かります。
この女性は、小学校の卒業証書をと届けに来た藤野であり、ここから2人が一緒に過ごす時間が始まっていく感じがします。
京本が美大に進学する、不審者に襲われるは同じですね。
京本は小学生の頃に憧れていた藤野に会うことができ、「アシスタントになってほしい」と言われたことが嬉しくて、家に帰って小学校時代の学級新聞の藤野が描いた4コマ漫画を読み直して、自分も4コマ漫画を描き始めます。
完成した4コマ漫画は部屋に入り込んだ風に飛ばされ、京本の部屋のドアの下から外へ出ていきます。
京本から藤野へ
京本の部屋の前で絶望と後悔でうずくまっていた藤野は、ドアの下から出てきた4コマ漫画に気づきます。
そこには「背中を見て」というタイトルで、通り魔に襲われた京本を藤野が救うという話でした。
不思議に思って京本の部屋に入ると、京本のことが明らかになっていきます。
一緒にマンガを描かなくなった後も、藤野の漫画コミックスがあり、そのポスターも貼られています。
机の上に置かれたアンケート用紙や、後を振り返った先には、藤野がサインした半纏が飾られています。
小学生の頃から高校卒業まで2人の道が分かれた後も、ずっと藤野のファンでいた京本を知ります。
そこで、
思い起こします。
2人で漫画を描いてきた大切な時間を思い起こしながら、藤野はまた漫画を描こうとします。
京本から「後ろを振り向かず、前を向いて」と、言われているようですね。
現実は変わらない
現実から離れた世界で、こうしていたらと考えた世界でも変わらなかったことがあります。
- 京本は美大に進学
- 不審者に襲われる
- 藤野と京本が出会うこと
最後に京本が亡くなった世界に戻ったように、都合のいい奇跡は起こることなく、京本との思い出と願いを叶える為に、自分ができることをやっていこうと奮い立たせます。
映画を見た感想
ほんの一部ですが、映画を見た感想をSNSからピックアップします。
途中から妄想の世界なのかパラレルワールドなのか、わからなくなるという声は多かったです。
そこを理解しないと、話の展開を理解できず“意味不明”と思ったままになるのかと思います。
1回観ただけではわからなくても、何回か観るたびにわかってくることがありそうですね。
ルックバックなにがすごいのか考察!
『ルックバック』は「すごい」と言われています。
ストーリー展開が理解できなかったり、何を伝えたいのかわからなかったなどの声もありますが、わかる人からは高評価を得ているようです。
どんなところが「すごい」のかをみていきましょう。
タイトルの意味
タイトル名の『ルックバック』は、文字通り訳すと「後ろを見る」となりますが、使い方の多くは、
- 過去を振り返る
- 思い返す
という意味で使われます。
藤野は、京本と出会わない世界を妄想したり、高校卒業後の京本のことを知ることとなります。
また、お互いの背中を追いかけている描写もあり、藤野も京本もお互いを追いかけていたのではないでしょうか。
登場人物の名前
藤野と京本を合わせると、作者の藤本タツキと同じ「藤本」になります。
2人一緒に描いた漫画のペンネームは「藤野キョウ」。
主人公の藤野は作者自身を投影したキャラクターだとも言われています。
「京本」は、過去に起こった京都アニメーションでの放火事件を風化させない為だとも言われています。
これらから、クリエイターに向けた作品でもあると言われています。
構成
青春ものと思わせて、辛い展開から過去が変わったら、辛い展開は起こらなかったのでは?
と思わせて、もしもと妄想した世界は過程は違うが、結果も現実も何も変わらないことを示しています。
藤野がどんな行動をしていても、京本の「漫画が好き」「自分も描きたい」という気持ちは変わらずに美大に進んでいます。
展開の流れとしては、
という流れです。
ポップカルチャーのオマージュ
作品をみると様々な映画や音楽への敬意があることがわかり、作品にも盛り込まれています。
特に、イギリスのロックバンドOasisの「Don’t Look Back in Anger」
和訳は「怒りで過去を振り返ってはいけない」。
まさに、作品全体で表現しているようです。
また、2017年5月22日にマンチェスターのコンサート会場で起きた自爆テロの追悼式典で、一人の女性がOasisの「Don’t Look Back in Anger」を歌い始めて、その場にいた人で大合唱する様子がSNSで拡散され話題となりました。
まとめ
ここまで、ルックバックは意味不明でつまらないのか、なにがすごいのか考察してきました。
話の展開が現実から変わっていくところは、断言されておらず、作品を見た人に委ねられています。
もしもの妄想の世界、パラレルワールド、タイムリープなど、それぞれが感じたもので楽しめれば良いと思います。
現実から離れることに気づけないと、ストーリー展開がややこしくなって意味不明と思うことがわかりました。
私もこういう展開を理解するのが苦手なタイプなので、数回観て理解することがよくあります。
理解できたときは作品の良さを実感できます。
作品に奥深さを感じさせるような仕掛けが多くあり、1回と言わず何回か観たくなる作品ではないでしょうか。
今回は、『ルックバック』は意味不明でつまらないのか、なにがすごいのか考察しました。
コメント